1. GitHubとは何か?(概要と基本的な仕組み)

GitHubとは何か

GitHubは、プログラムコードをはじめとした様々なファイルのバージョン管理と共有を行うためのWebサービスです。 元々はソフトウェア開発者向けのプラットフォームとして誕生しましたが、現在ではあらゆる種類のファイルを管理でき、 多くの企業や組織がドキュメント管理や情報共有の基盤として活用しています。

GitHubの主な特徴は次のとおりです:

バージョン管理システム

ファイルの変更履歴を自動的に記録し、いつでも過去のバージョンに戻すことができます。「誰が」「いつ」「何を」変更したのか、すべての履歴が残ります。

共同作業プラットフォーム

複数人での共同編集をスムーズに行え、変更の提案(プルリクエスト)、レビュー、コメントなどの機能により、チームでの作業効率が向上します。

クラウドストレージ

ファイルはGitHubのサーバーに保存され、インターネット経由でどこからでもアクセスできます。同時にローカル(自分のPC)にもコピーを持つことで、オフラインでも作業可能です。

プロジェクト管理ツール

Issues(課題管理)やProjects(かんばんボード)機能を使って、タスク管理やプロジェクト進行の可視化ができます。

Gitとの関係

GitHubを理解するには、その基盤となる「Git」についても知っておく必要があります。

Gitとは

Gitは分散型バージョン管理システムです。ファイルの変更履歴を管理し、複数人での共同作業を可能にする仕組みを提供します。主な特徴は以下の通りです:

  • スナップショット保存 - 変更の度に、ファイル全体ではなく変更点のみを記録
  • 分散型設計 - 全ての開発者が完全な履歴とバージョンを持つ
  • ブランチ機能 - 並行して複数の作業を進められる仕組み
  • マージ機能 - 別々に行われた変更を統合する機能

簡単に言えば、Gitはバージョンをコントロールするシステムそのものであり、GitHubはGitを利用したWebサービスです。GitHubはGitの機能をベースに、Web上でのコラボレーション機能を追加したサービスといえます。

Git

  • コマンドラインツール
  • ローカルでの変更管理
  • 無料・オープンソース
  • 専門的な知識が必要

GitHub

  • Webサービス(GUI提供)
  • クラウド上での共有・コラボレーション
  • 基本無料(有料プランあり)
  • 比較的取り組みやすい

企業での活用とビジネス価値

GitHubは、もともとプログラムのソースコードを複数人で共同開発するために作られましたが、現在ではコードに限らず文章や画像などあらゆるファイルを扱える汎用的なプラットフォームでもあります。

GitHubの背後にはGit(ギット)と呼ばれるバージョン管理システムが動いており、ファイルの変更履歴を「スナップショット」として蓄積します。
これにより、誰がいつどんな変更を行ったかが一目でわかり、必要に応じて以前の版にロールバック(巻き戻し)することもできます。
まさにMicrosoft Wordの「変更履歴」機能やGoogleドキュメントの「バージョン履歴」に近く、ファイルのタイムマシンのようなものです。

ポイント

GitHubは単なるコード管理ツールではなく、あらゆるファイルやプロジェクトの履歴を管理できる汎用的なプラットフォームです。

リポジトリとは?

GitHub上ではプロジェクトごとにリポジトリと呼ばれる保管場所を作り、そこに関連するファイル一式と変更履歴をまとめて管理します。
リポジトリは言わばフォルダのようなもので、社内の文書や資料もリポジトリとして管理可能です。

たとえば「営業資料」リポジトリを作成し、その中に提案書や会議議事録のファイルを入れておけば、GitHub上で一元管理できます。
GitHubにはさらに、ファイルの追加・編集履歴(コミット)、作業分岐(ブランチ)、変更提案(プルリクエスト)など、
共同作業を円滑にするための機能が豊富に備わっています。

図1.1: GitHubのリポジトリ画面例

推奨サイズ: 800×450px (16:9)

企業でも近年、エンジニア以外の部門でGitHubを活用するケースが増えてきました。
例えば料理レシピサイト大手のクックパッド社では、社内規程類をMarkdown(マークダウン)形式の文書にしてGitHubで管理し、
変更履歴の管理やレビューの効率化を図ったそうです。

このようにGitHubは「ソフトウェア開発者の道具」から「情報共有基盤」へと進化しており、
プログラミング知識がなくても恩恵を受けられるプラットフォームとなっています。

Gitの仕組み(簡略版)

GitHubをより深く理解するために、バックエンドで動作しているGitの基本的な仕組みを簡単に説明します。

スナップショット方式

Gitは変更があるたびに、プロジェクト全体の状態のスナップショットを保存します。これにより、任意の時点の状態に戻ることができます。

分散型設計

各ユーザーはリポジトリの完全なコピー(クローン)を持ち、ネットワーク接続なしでも作業できます。

変更の追跡

誰がいつどのような変更をしたかが記録され、複数人での作業でも混乱を防ぎます。

Gitの仕組み図解

図1.2: Gitのコミットによる変更管理の仕組み

推奨サイズ: 800×450px (16:9)

GitとGitHubの関係

多くの初心者が混同しがちなGitとGitHubの違いを整理しておきましょう:

Git - バージョン管理システム

バージョン管理システム自体で、ローカルPC上で動作するツールです。主にコマンドラインで操作することが多く、オープンソースソフトウェアとして無料で使用できます。

GitHub - ホスティングサービス

Gitリポジトリのホスティングサービスで、オンラインでアクセスするウェブサービスです。グラフィカルなインターフェースを提供し、Microsoft社が運営する商用サービスです。

このように、GitとGitHubは別物ですが、密接に連携しています。
Gitはあくまでバージョン管理の仕組み自体を指し、GitHubはそれをより使いやすくしたウェブサービスです。
本サイトでは主にGitHubのウェブインターフェースを中心に解説しますが、より高度な使い方をする場合はGitコマンドについても学ぶと良いでしょう。