3. GitHub習慣化の具体例とコツ
最後に、実際にGitHubを日常業務で使いこなしているチームの具体例と、その中で培われたコツを紹介します。
XYZ株式会社 営業チームの具体例
XYZ社の営業チーム(10名)は、1年前からGitHubを導入し、案件管理やナレッジ共有を行っています。当初はExcel管理からの移行に戸惑う声もありましたが、次第に以下のような習慣が根付きました。
- 朝会前に各自が自分の担当Issue(商談案件)を確認し、進捗をコメント更新する。朝会ではそれをベースに会話するので、無駄がなくなった。
- 上司は日中、随時Issueをチェックし、良い動きをしている部下には👍リアクションを付けたり、詰まっていそうならコメントでフォローするようになった。これにより指示待ちが減り、部下の主体性が向上した。
- 週次でWikiに「今週の成功トークスクリプト」と題したページを営業メンバー持ち回りで執筆するルールにした。誰かが良い提案やクレーム対応をしたらそれを文章化し、Wikiで共有する。表彰まではしないが、自然と執筆者は承認欲求が満たされ、また他のメンバーも新しい知見を得られるというWin-Winが生まれた。
- 営業成績トップの社員が率先してGitHubを使いこなし、「案件は全部GitHubで管理してるよ」と他の社員にアピールした。結果、それに倣う動きが出て全体の利用率が上がった。
- たまにメールで依頼してくる他部署には、「この件、GitHubのIssue #123に追記してもらえますか?」とお願いするようにした。最初は戸惑われたが、何度かやり取りするうちに他部署もIssueに直接書き込むようになった。今では他部署とのコラボもほぼGitHub上で完結している。
これらの習慣化を支えたコツとして、営業マネージャーは「GitHubをチームの情報ハブにする」と明確に決めたことを挙げています。多少時間がかかっても「GitHubに残そう」と徹底し、一年経った今、その恩恵(過去データの蓄積や効率化)を誰もが感じているとのことです。
習慣化の重要ポイント
他の例でも共通するのは、リーダーシップと場数です。最初に旗を振る人がいて、メンバーが場数を踏んで慣れる。この2つが揃えば、新しいツールは自然と日常に溶け込みます。GitHubも例外ではありません。逆に言えば、最初の数ヶ月が肝心です。この期間に挫折しないよう、本サイトのアドバイスを参考にチームで工夫してみてください。
最後に、GitHub活用は手段であって目的ではありません。大事なのは業務効率やコラボレーションの質が向上することです。その目的を常に忘れず、柔軟に運用をカスタマイズしていってください。そうすればきっと、皆さんの働き方にプラスの変化が訪れるでしょう。ぜひ楽しみながら取り組んでください。
演習課題
- チームメンバー全員で、GitHubを使って良かった点・困った点をそれぞれ3つずつ出し合ってみましょう(既に少し使ってみた前提で)。出てきた意見をもとに、「では来月から◯◯をこう改善しよう」「△△さんはこう工夫してみて」などアクションプランを決めてみてください。改善策をIssueにまとめ、1ヶ月後にそのIssueを見ながら振り返りをするのも良いでしょう。
- 各自の業務でまだGitHubに載せていないものを一つ選び、試験的にGitHub管理に移してみてください。例えば紙のToDoメモをやめてIssueに書く、共有フォルダのマニュアルをWikiに移行するなどです。小さな一歩から習慣を変えていきましょう。
本サイトのまとめ
以上、10章にわたりGitHubの基礎知識から業務での活用法まで解説してきました。プログラミング未経験の方にも理解しやすいよう努めましたが、実際に使ってみて初めてわかることも多いはずです。ぜひ本サイトの内容を参考に、まずは触れてみてください。そしてチームで議論し、あなたの職場に合った使い方を見つけていってください。GitHubが皆さんの情報共有とコラボレーションを一段と活性化することを願っています。お読みいただきありがとうございました。