2. その他のサービスとの連携事例(Google Drive, Trello等)
GitHubは様々な外部サービスと連携可能です。ここでは、前節のSlack以外にも、ビジネスでよく使われるツールとの連携例をいくつか紹介します。これらの連携により、それぞれのツールの強みを活かしながら、より効率的な情報共有や作業管理が可能になります。
連携のメリット
様々なツールと連携することで、各チームが自分に合ったツールを使いながらも情報の同期ができるというメリットがあります。例えば、エンジニアはGitHubで作業し、プロジェクト管理チームはTrelloで進捗を追跡するといった使い分けが可能になります。
タスク管理ツールとの連携
プロジェクト管理ツールとGitHubを連携させると、タスク管理と開発作業を一元化できます。特に人気なのがTrelloとの連携です。
Trelloとの連携方法
TrelloではGitHub Power-Upを有効にすることで、カードにGitHubのPull RequestやIssueを関連付けることができます。設定手順は以下の通りです:
- Trelloボードの「Power-Ups」メニューを開く
- 「GitHub」を検索して「追加」をクリック
- GitHubアカウントと連携させる認証を行う
- 連携後、カードに「GitHub」ボタンが表示されるようになり、そこからリポジトリやIssue、PRを関連付けられる
連携のメリット
- 状況の一元把握 - Trelloカード上でGitHubの開発状況を確認できる
- コンテキスト維持 - タスクと実装の関連性が明確になる
- 作業の流れ改善 - タスク → 開発 → レビュー → 完了の流れを視覚化
カレンダーツールとの連携
GitHubのIssueやマイルストーンの期限日をカレンダーに反映させることで、プロジェクトスケジュールを視覚化できます。
iCal形式でマイルストーンを公開
GitHubリポジトリのマイルストーンページのURLに.ics
を追加すると、iCalendar形式でダウンロードできます。例:
https://github.com/username/repo/milestones.ics
カレンダーに登録
このURLをGoogle CalendarやOutlookに外部カレンダーとして登録することで、マイルストーンの期限がカレンダー上に表示されるようになります。
サードパーティツール
より高度な連携を行うには、GitHub Marketplaceに掲載されているサードパーティの連携ツールを活用するという選択肢もあります。例えば「ZenHub」や「GitKraken」などが人気です。
CI/CDサービスとの連携
継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)サービスとGitHubを連携させることで、コードの変更に対して自動的にテストやデプロイを実行できます。
Google Driveとの連携
連携方法の特徴
直接の公式連携はありませんが、Zapierなどを用いて「GitHubにプッシュがあったらGoogle Driveにバックアップ」や「Issueができたら特定のDriveフォルダに通知ドキュメントを追加」といった自動処理が可能です。あるいは単純にGitHubに置いたMarkdownを定期的にHTML化してDriveに保存する、といった使い方も。さらにGoogle Workspace(スプレッドシート等)からGitHub APIを叩くことで、Issue一覧をスプレッドシートに出力して管理するカスタム連携事例もあります。
自動バックアップ
リポジトリの内容を定期的にGoogle Driveにバックアップすることで、二重のセキュリティを確保できます。
ドキュメント連携
GitHub上のMarkdownファイルをGoogleドキュメントに自動変換して共有することで、技術文書と一般文書の橋渡しができます。
スプレッドシート管理
GitHub Issuesやプロジェクトのデータをスプレッドシートに自動同期させることで、より柔軟な分析やレポート作成が可能になります。
Driveとの連携は工夫次第ですが、データのバックアップや既存社内資産との橋渡しとして役立つでしょう。
CI/CDやチケットシステムとの連携
技術的な連携例
エンジニア領域になりますが、Jira(課題管理)やCircleCI(CIツール)などともGitHubは密に連携します。例えばGitHub上でIssueに特定の文字列を入れるとJiraチケットが動く、プルリクエスト作成で自動テストが走り結果がPR上に表示される、など。ビジネス寄りの利用では直接関係ないかもしれませんが、たとえば契約書レビューのプルリクを出したらDocuSignで承認フローが起動なんてことも、API連携すれば実現可能です。GitHubはWebサービスなので、WebhookやAPIで様々な自動化ができる点も魅力です。
連携を実現する方法
GitHub Apps
公式またはコミュニティ製のアプリケーションをGitHubにインストールすることで、特定のサービスとの連携機能が追加されます。マーケットプレイスから簡単に導入できる点が特徴です。
Webhook
GitHubで特定のイベント(プッシュやIssue作成など)が発生したときに、指定のURL(他サービスのAPI)にHTTPリクエストを自動送信する仕組みです。イベント駆動型の連携に適しています。
API
GitHubのAPIを使用して、カスタムスクリプトを作成し、他サービスのAPIと連携させる方法です。最も柔軟性が高いですが、技術的なスキルが必要です。
ノーコードツール
ZapierやIFTTTなどのノーコード連携ツールを使うと、プログラミングスキルがなくても各種サービス間の連携を設定できます。「〜したら〜する」という条件設定で簡単に自動化が可能です。
連携活用のポイント
特にTrelloやSlackとの連携は比較的設定も容易なので、チームの運用に合わせて取り入れると良いでしょう。例えば「エンジニアはGitHub Projects派だけど、ビジネスチームはTrello派」という場合に、双方向同期でお互い好きなツールを使いつつ連携している例もあります。GitHubはその柔軟性のおかげで、既存の仕事の流れに合わせて拡張できるのです。
演習課題
実践演習
Trelloを使っている場合、GitHub Power-Upを有効にして、Trelloのカードに自分のGitHubリポジトリのIssueかPRを添付してみてください。カード上にどのように情報が表示されるか確認しましょう。
まとめ
GitHubと他のサービスとの連携は、チームごとの好みや作業スタイルを尊重しながらも、情報やプロセスを一元化できる大きなメリットがあります。まずは普段使っているツールとGitHubを繋げてみることで、作業効率の向上や情報共有のスムーズ化を実感してみてください。連携の可能性は無限大で、チームの課題に合わせたカスタマイズも可能です。