1. ブランチとは?(基本概念と業務での使い方)
GitHubの高度な機能としてブランチ(Branch)があります。ブランチとは、直訳すれば「枝」です。Gitにおけるブランチとは、履歴(コミット)の流れを分岐させて並行作業するための仕組みです。イメージとしては、ある書類の編集作業を別のコピー上で進め、最終的に本物に反映させる、といったことが可能になります。
ブランチの基本的な概念
通常リポジトリを作るとmainブランチ(旧称 masterブランチ)が一本あります。これが「本線」の履歴です。ブランチを新規作成すると、mainから枝分かれしたコピーができます。そのブランチ上でいくらコミットしても、mainブランチの内容には直接影響しません。作業が完了したら、そのブランチをmainにマージ(統合)することで変更が取り込まれる、という流れです。
ビジネス業務でのブランチの使い方
ビジネス業務でブランチを使う場面としては、重要な文書の下書き・改訂作業などが挙げられます。例えば、会社規程の大幅改定を行う際、いきなり本番の文書を編集するのはリスクがあります。そこで「revision-2024」というブランチを作成し、その上で規程文書を編集していきます。他のメンバーにもそのブランチ上でレビューしてもらい、問題がなければ最後にmainブランチ(正式版)にマージします。こうすることで、作業中は正式版を汚さずに済みますし、並行して日常業務で正式版を参照することも可能です。
ブランチの使い分け
ブランチは基本的に目的ごとに作成し、用が済んだらmainに統合して削除します(削除しても履歴は消えませんが散逸を防ぐため消すのが普通です)。小規模な変更ではブランチを使わず直接mainにコミットしてしまって構いません。しかし、「この変更は関係者の確認を経てから反映したい」「作業に数日かかり、その間は正式版を触りたくない」という場合にはブランチを切ると安心です。ブランチ上なら万一問題が起きてもmainブランチには影響ありません。
GitHub上でのブランチ操作
ブランチの作成
GitHub上でのブランチ操作は、リポジトリのCodeタブで画面左上のブランチ選択メニューから行えます。デフォルトは「main」と表示されています。そこをクリックし、新しいブランチ名を入力して作成すると、そのブランチに切り替わります。
【画像: ブランチ作成操作のスクリーンショット】
ブランチの切り替え
以後、明示的にmainに戻すかブランチを切り替えない限り、Web編集はそのブランチ上で行われます。現在のブランチ名はページ上部(ファイル一覧の上)に表示されるので確認しましょう。
ブランチの命名
ブランチ名は分かりやすく付けてください。機能開発ではfeature/login-page
のようにprefixを付けたりしますが、文書管理ではdraft
, rev-202311
, experiment
など、内容や目的を反映した名前にすると良いでしょう。
ブランチを使う主なメリット
- 安全な作業環境:メインの内容に影響を与えずに変更作業ができる
- 並行作業:複数の改訂や機能追加を同時に進められる
- レビュープロセス:変更をメインに統合する前に確認ができる
- 実験的な試み:本番環境に影響なく新しいアイデアを試せる
ブランチの使用例
ビジネス業務では、次のような場面でブランチが特に有効です:
- 社内規程の改訂作業
- プレゼン資料の複数バージョン管理
- 提案書の下書き作成
- ウェブサイトコンテンツの更新
- プロジェクト計画書の変更
いずれの場合も、正式版を保持したまま、別のブランチで作業することで、安全に編集作業を進められます。