3. 企業の実務における具体例

ここでは、WikiとGitHub Pagesがビジネスシーンで実際にどのように活用されているか、いくつかの具体的な事例を紹介します。これらの例を参考に、ご自身の組織での活用方法を考えてみてください。

事例紹介

Wikiの実例: 社内ヘルプデスク知識庫

あるIT企業では、社内から寄せられる質問(PCトラブル対応や各種申請方法など)への回答をGitHub Wikiに蓄積しています。ヘルプデスク担当が質問を受けるたびに対応手順をWikiページに追加し、他の社員はまずWikiを見て自己解決を図る文化を促進しています。結果としてヘルプデスク業務が効率化され、新人社員もWikiを読むことでスムーズに業務に慣れています。

GitHub Pagesの実例: 製品ドキュメント公開

とあるスタートアップでは、自社製品のユーザーマニュアルサイトをGitHub Pagesで運営しています。エンジニアとテクニカルライターがGitHub上でMarkdownのマニュアルを編集し、それが自動的にdocs.myproduct.com(カスタムドメイン設定済みのGitHub Pagesサイト)に反映されます。リリースに合わせてドキュメントを更新してもデプロイ作業は不要で、Pull Requestをマージするだけでサイト更新が完了します。従来はWordからPDFを書き出して配布していたものが、常に最新ウェブページとして提供できるようになりました。

社内報サイト

人事部が毎月発行している社内報をGitHub Pagesでサイト化している例もあります。紙やPDFで配布していたものを全社員が見れるウェブサイトにすることで、過去アーカイブも含め閲覧性が向上しました。更新もMarkdownベースで簡単なため、人事部員が直接GitHubに記事をアップしています。

情報共有・発信インフラとしての活用

このように、GitHub WikiとPagesは情報共有・発信インフラとして活用できます。GitHub自体に慣れてきたら、ぜひこれらの機能にも触れてみてください。最初は小さく始めて、徐々にページを拡充していくと良いでしょう。

企業での成功ポイント

役割と責任の明確化

特にWikiの場合、誰がどのページを更新・管理するのか明確にしておくと運用がスムーズになります。例えば部署ごとに担当者を決めたり、トピックごとに管理者を指名するなどの工夫が有効です。

情報の構造化

情報量が増えてくると探しにくくなるため、Wikiの場合はホームページにカテゴリ別のリンク集を作り、全体を見渡せるようにするといいでしょう。また、命名規則やタグの使い方など、最低限のルールを設けておくと整理しやすくなります。

定期的な見直し

古い情報が残ったままになると、かえって混乱を招くことがあります。四半期に一度など定期的に内容の見直しをする仕組みを作っておくと、情報の鮮度を保ちやすくなります。

演習課題

実践演習

  • ご自分のリポジトリでWikiを有効にし、試しに1ページ作成してみましょう。テーマは何でも構いません(例えば「プロジェクトXYZ Q&A集」など)。ページを保存し、編集履歴を確認してみてください。また、そのWikiページに別のページへのリンクを貼る練習もしてみましょう(リンク先ページも新規作成してみる)。
  • 可能であればGitHub Pagesも設定してみましょう。簡単な内容のindex.mdを作り、Settings > Pagesでサイト公開を有効にします。実際に表示されるURLにアクセスし、ページが見えるか確認してください(※社内秘情報は置かないよう注意)。

まとめ

GitHubのWikiとPagesは一見するとシンプルな機能ですが、ビジネスシーンでの情報共有や発信に大きな効果をもたらします。特に文書の整理、共有、公開のプロセスをシームレスにし、常に最新の状態を維持しやすいという点は、従来の文書管理手法に比べて大きなメリットです。まずは小さな用途から試してみて、徐々に活用範囲を広げていくことをおすすめします。